9月11日 祖母が鬼籍に入った
人生の何たるかを味わいつくし
自分に向き合う102年を全うした
眠りにつくその日の朝まで
食事は食堂でとるからと
車椅子を揺らした
もうそんな体力はこれっぽっちもなく
食べ物の咀嚼もできないけれど
正々堂々と自分を貫き
部屋(ベット)での食事は好かん!
とキッチリ拒絶した
そして、その日の午後
長崎から到着した母に看取られ
逝った
「お迎えはいつ来てもよかとけど
そいばってん、自分で勝手にできんさ
あたしは、いつでん良かちゃけどね」
ため息まじりに
ニヤリと笑いながら彼女は言い
魂が運び去るその時を待ち続けていた
母が来たその時を狙い
そら来たと
旅立ったのだろうなと思う
その週末
葬儀場で行われた葬儀は
祖母オンリーで
(本葬は長崎で行ったのだけど)
大きな会館を悠々と独り占めし
葬儀社の人は、老人が多いこの街で
こんな事滅多にないと唖然とさせた
次に火葬場に行くと
その日、荼毘に付すのは祖母だけだった
(これもレアケースらしい・・・・)
リゾートホテルと見まごう
広く豪華な火葬場は
その日は祖母ただ一人の為にあった
晴れた空には
雲が美しく漂い
旅立つにはもってこいの日だった
そうしてミラクルに天へと昇り
長崎へ帰ってきた
白い箱を見て考えた
心して逝ったので
死神も彼女のお迎えで手一杯となり
もう、他のお迎えは
手が回ら無かっただろうなと
ありがとうと言うより
おめでとうが相応しい
キクエさん 心からおめでとう
愛しているよ
9Neuve 貴子