11月は不思議と懐かしい人と再会する
20年・14年・10年ぶりと
長く大きな時の流れがあっても
脳はスルスルと記憶を引き出し
一瞬にして時空を越えてゆく
「あなたが撮る写真は、今でも覚えている」
10年ぶりに聞く声が
ひっそり心の琴線に触れた
10年前、写真を売って欲しいと言う
オファーを受けた事があった
Parisにある知人のアトリエに
私が撮った長崎の写真が飾られていて
それに目を留めたフランス人からの依頼だった
はいこれねと手渡された紙には
電話番号と「Très poétique」と書かれていた
とても詩的だ
知人へ何枚かの写真を託し
私が帰国した後
依頼者の元へ写真が届けられた
Parisのどこかのサロンで
長崎の風景と空の写真が飾られた
それから半年後、
知人は若くし永遠の眠りにつき
アトリエは慌ただしく移転し
今はドイツにあると風の便りに聞く
私の報酬の一部は
知人の香典代として花をたむけて
残りのはアトリエの旅路代と贈った
その思い出はそのまま胸にしまいこんで
もう蜃気楼のように消えかけていたけど
急に砂がハラハラと落ち晴れて
あの光景が蘇る
そんな事が確かにあった
10年ぶり再会した友は言う
「また写真を撮ってみたら」
そうだね、スンナリ言う自分に驚いた
Très poétique
あの頃の喜び
表現する温度が懐かしい
9Neuve 貴子
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