2017年12月27日
フランスの国民的シンガー
ジョニーアリデイが亡くなった
マドレーヌ寺院での葬儀の映像を
YouTubeで見てたら
胸のあたりがギュと苦しくなった
ジョニーのせいじゃない
マドレーヌ寺院のせい。
パリで生活を始めた当初 私の服装は
エレガンスからは遥か遠い出で立ちで
パリの同居人のマダムHは
フランス着きたてほやほやの私に
「あなた良くない・・・その服は
ルバロアではやめてください」
キッパリと言い放った。
(ルバロアについては彼女達を見れば分かる事)
当時はJUNYA WATANABEの
独創的なファッションが大好きで
ちょっとアシンメトリーでクールな
黒い服装を楽しんでいた。
そしてお買い物ハンターとして
お仕事を遂行するべく
事もあろうか、その変な黒い出で立ちで
私はハイブランドの扉の前に立った
ドアマン達は1㎜も動かず
扉を開けてはくれなかった
そこには私は存在しないかのような
無の時間が流れていた
状況が理解できなくポカンとしたが
店には入れてもらえないと分かり
少し歩いてマドレーヌ寺院へ行き
階段に腰を下ろし
ぼんやり辺りを見渡した
こんなにも目の前の景色は美しく
憧れのパリにいるのに
どうしょもなく惨めで
ただただ途方に暮れた
それがマドレーヌ寺院の記憶
後日、マダムHの上質なコートとハイヒールで
(マダムの厳しいレクチャーが付き)
震えをこらえて扉の前に立つと
すんなり中に招き入れられた
階級社会意識が根強いフランスでは
エレガンスがないアジア人(私)は
メイドとしてしか見られなかったのだ
チャイニーズマネーが幅を利かせる今
ハイブランドの対応も
かなり緩くなってきたようだ。
あれから長い月日が経った今
ドアの前に立てば
エレガンスをもって
扉を開ける自信がある
9 Neuve 貴子