2019年5月28日火曜日

あの頃のマドレーヌ寺院で



2017年12月27日



フランスの国民的シンガー
ジョニーアリデイが亡くなった




マドレーヌ寺院での葬儀の映像を
YouTubeで見てたら



胸のあたりがギュと苦しくなった



ジョニーのせいじゃない
マドレーヌ寺院のせい。



パリで生活を始めた当初 私の服装は
エレガンスからは遥か遠い出で立ちで



パリの同居人のマダムHは
フランス着きたてほやほやの私に




「あなた良くない・・・その服は
 ルバロアではやめてください」



キッパリと言い放った。
(ルバロアについては彼女達を見れば分かる事



当時はJUNYA WATANABEの
独創的なファッションが大好きで



ちょっとアシンメトリーでクールな
黒い服装を楽しんでいた。



そしてお買い物ハンターとして
お仕事を遂行するべく


事もあろうか、その変な黒い出で立ちで
私はハイブランドの扉の前に立った





ドアマン達は1㎜も動かず
扉を開けてはくれなかった



そこには私は存在しないかのような
無の時間が流れていた



状況が理解できなくポカンとしたが
店には入れてもらえないと分かり



少し歩いてマドレーヌ寺院へ行き
階段に腰を下ろし
ぼんやり辺りを見渡した


こんなにも目の前の景色は美しく



憧れのパリにいるのに
どうしょもなく惨めで
ただただ途方に暮れた



それがマドレーヌ寺院の記憶


後日、マダムHの上質なコートとハイヒールで
(マダムの厳しいレクチャーが付き)



震えをこらえて扉の前に立つと
すんなり中に招き入れられた



階級社会意識が根強いフランスでは
エレガンスがないアジア人(私)は


メイドとしてしか見られなかったのだ


チャイニーズマネーが幅を利かせる今
ハイブランドの対応も
かなり緩くなってきたようだ。




あれから長い月日が経った今
ドアの前に立てば



エレガンスをもって
扉を開ける自信がある



9 Neuve 貴子









2019年5月23日木曜日

赤い抱擁





自宅リフォームが終わり
部屋の床が、白く滑らかな木目となった。

それはそれは
もう悦に入っていたら


木材メーカーさん(身内)から
ハイヒールで歩くのは
ちょっと・・・・NGと
やんわり叱られ
家族からは鋭く釘を刺された。


気持ちはガルルッと逆立ったが
ご立腹などはせず
ただ静かに頷きマッハで指を動かした
「ポチッ!」


で2日後「レッドカーペット」がやってきた。

このアイテムは視覚的に効果抜群
一瞬にして、華やかで美しい
空間が目の前に広がる。



赤い色彩が視界に入ると
パッと感情が入り
心地が良く気分が高揚する


やはり赤は美しい
夢がある


そこから自分と夢が合体し
その気なれるのだ。


「その気」はアイテムで作れる。



さあ、次のアイテムに
狙いを定めてワクワクしている


9 Neuve 貴子






2019年5月22日水曜日

beauty inside






美しく正しい歩き方と知ると
「自立」ができる


見た目と中身は

ちゃんと比例するもので



身体がシャンとすると
心もシャンとしてくる。


ハイヒールに脚を入れた時

自らの力で立てなければ



グラグラと揺れ自立できない


その曖昧さは

その人自身の揺れになり心もブレる


避けきれない日々の揺れは

よく起こり得る


でも自立できる軸があると

不意に揺れた時



のブレは最小限に抑えられる


そしてハイヒールで歩く瞬間



身体の軸を感じることが
ささやかな喜びとなる



自らの力で立つ



それがハイヒールで歩く人生だと思う。


9 Neuve 貴子




2019年5月16日木曜日

パリ美術館紀行No,4 「パリ装飾芸術美術館」




ルーブル美術館の一角にある美の殿堂




Musée des Arts Décoratifs 
パリ装飾芸術美術館




・モードテキスタイル
・装飾芸術
・広告博物館 



3構成に分かれています。



まずは「モード博物館」
ここで開催されるエキシビションは
毎回話題を呼び



最近ではDiorのメゾン70周年記念の
展示が大人気でした。





こういった企画展示会の準備には
約2年月日を費やします



高級仕立て服『オート・クチュール』
手にするまで最低でも2回仮縫いが必要



ビック・メゾンだと最低300万位からで
顧客は世界では500人と言われていますが



実情は200人弱とも







見逃せない「宝石博物館」


アンティークジュエリーから
現代ジュエリーまで


めくるめく夢の世界が広がります




光の当て方が絶妙でウットリ
煌びやかで美しい宝石や装飾品を見ていると



もうあっとい言う間に1時間位が・・・



過ぎてしまうので光り物が大好きな方
ご注意下さい、まだまだ次があります


「広告博物館」では


ポスター・CMなどの広告歴史が
クールに展示されています


1フロアの展示で広くありません


グラフィックに興味がある方には
垂涎の空間ですね


体力がある方は、さあここからです



インテリアと家具の展示まで足をお運び下さい。

アール・ヌーヴォーの家具から

ミリアリズムまでデザインまで


インテリアオシャレを満喫しましょう。







れのデザイナーズチェアーに座って
我が家にはどれが似合うかしらなどど


足の疲やすゾーンもありますのでご安心を


このミュゼは
10年の歳月と47億円をかけ
2006年にリニューアルオープンしました



フランス装飾芸術の底力が感じらる


美しく楽しいミュゼです。



開館時間:11:00〜18:00(木〜21:00)
      月曜日休館


住  所:107 rue de Rivoli 75001
料  金: 館共通 11€

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展示が多岐にわたり

なおかつ建物の構造が複雑です。



チケット売り場で館内マップをもらい
館内を把握してから動きましょう。


私はココにくると6時間かかるので


途中、一度外に出て
贔屓のカフェで一息ついてました




チケットは無くさないように!

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9 Neuve ミュゼ子





2019年5月12日日曜日

愛を綴る人


phot by quarantotto


コンサルティングでは



①メール課題
②このブログで何を綴るか


この2つのお題を師匠から頂く


②のブロクの文章は作れても
付ける画像が納得できない場合



夜な夜な画像を探しグスグスしている


そしてブログ題名を
映画のタイトルに重ねて考え
こっそりと楽しんでいる



あっ!と分かられた
映画マニアの方ブラボー


①メール課題は



提出後、師匠により修正が入る
修正の説明や解説を聞いては


自分の理解度が浮き彫りとなり
一瞬、冷や汗が出たりもするが



この時の学びは大きい


私の場合はライティング業に
ダイレクトに響き



構成力・語彙力が劇的に上がった


そしてメール課題では
「殿堂入りメール課題」が読める


歴代の素晴らしいメールを
読み解きながら


何気に執筆者の人となりが
感じられるとその方により惹かれてゆく


書き手の魅力は文字となって表れる



そう気が付いてから
この課題は自分と向き合う時間となった


誰に、何を伝えたいのか


そことなく愛を感じるような
そんな文章を綴りたいと思う


9Neuve 貴子

2019年5月6日月曜日

Ou est mon chat?



年の春は 生まれたての子猫の
小さな甘い鳴き声を耳にしなかった




猫達も少子化の時代なのかもしれない



長崎は「猫の街」と呼ばれている

子供の頃、街の階段や坂の端には



猫達に進呈された魚が置かれており


今日はキビナゴか小ぶりなアジかと
魚チェックをしながら歩いたりした




近所の空き地には

皿うどん用の大皿が設置され




いつも誰かが猫用の食事を
たっぷりと用意し
その時間は猫が泉のように湧いていた



街に猫が溢れていた子供時代



大人になったら
大きな白猫と毛がフワフワな猫が欲しいと
猫の泉を眺めながら決めていたが


しかし、あろうことか

猫アレルギーとなった



猫達と暮らしを共にしたくも

この仲は許されはしない
時々、贔屓の猫と逢瀬を重ねている



でもこの愛に進展はない


最近は猫達のしなやかな歩きを
じっと見ては考える


歩幅は小さく

着地前には小さな間がある



そして、しっかり肉球(母指球?)で
地面をプッシュをしている




猫の優美な歩きにも

なんと、ちゃんと理由があったのだ


そうやって、この街の猫達を
ひっそりと愛し続けている


9 Neuve 貴子

2019年5月3日金曜日

介護とハイヒール





先週より我が家は
リフォーム工事がまっさかり



ヤドカリのように場所を
変えながら生活をしている


そんな中、父が転倒し肋骨骨折し
体調は雪なだれのように絶不調となり



日曜日、休日対応の病院を三箇所はしごし
入院でゴールした



その早朝、タクシーを待つ間



父の青白い顔を見ながら
しばし立ちすくみ・・・・躊躇した




ルブタンかスニーカーか


一瞬、気持ちが鬩ぎ合い
思考が交差したが


ショコラベージューの彼女に足を入れた


迷いがあるうちは余裕があるって事



父に生命の危機はなく
ヘンテコな発言は痴呆でなかった



しばらくゴタゴタとはしていても
めくるめく絶望はない


こんな風に、小さかったり
重き大きな決断を重ねてゆくとき



ハイヒールは価値観の境界線の
ストッパーとなってくれた


自分の価値観が揺らぎそうな時
これは絶対、蔑ろにしないという



その情熱が私の価値を作ってくれる


これからスニーカーが必要な時が
増えていくのだろうな思いながら



足元を見つめている


老いゆく親
親子の情
ハイヒール

介護とハイヒール




甘くはないが、その境界線を探りたい。


9Neuve 貴子